「死にたくなった」という風潮あるいはテンプレを批判するということ

経緯
サマーウォーズ見たら死にたくなった
(中略)
サマーウォーズを見て死にたくなっても、映画の半分を見ていないというわけではない - 一本足の蛸
*1というということがあった。ということで、id:GonbeNanashinoさんと話した。ログは→瀬戸風味 - 過去ログ - Cometeo

結論から言うと、"「○○を見て死にたくなった」というテンプレフレーズの安易な使用"が普及している現状を崩すチャンスを逃したのではないか、という話になった。
「死にたくなった」というフレーズをターゲットにするなら今回の彼はあんまり適切ではなかったようだし*2、「映画(作品)の見方」として語るのだとしても、大元の発言者を置き去りにしすぎていて不誠実に見えた、というところか。


以下ログを抜粋編集しながらまとめる。詳細はログに書いてある…と思う。

  • 「死にたくなった」というテンプレ

なんかここ数年、「青春」的なものが作品に出てくると「死にたい」って言う風潮がある、くらいに捉えている。それをテンプレとして安易に使われるのは良くないことだと思っているし、実際「死にたくなった」の普及具合を見ていると、どっちかっていうとなくなった方がいいんじゃねぇかなぁ、と思うこともある。

  • 「死にたくなった」に対する留保

何か作品を見たときにネガティブな感想を持つことは当然あって、その「残念さ」が何なのかを発見できれば、そこからまた別の新しい何かが生じてくると思っている。ただし、その「残念さ」というか、もやっとしたものが「死にたくなった」「死にたくなったね」で終わってしまうのなら、それはもったいなく感じる。

  • アンチ「死にたくなった」について

「死にたくなった」にイラっとくる人っていうのは、「俺が褒めたやつを貶すな」みたいな人もいるだろうけど、大概は「とりあえず死にたいって言っとけ」っていう風潮が嫌いなんじゃないのかなあ、と推測している。というか、自分がそう。推測なので違う人もいるだろうとは思う。

  • 今回の件に対しての解釈

そんなことしか感じなかったわけじゃないからというのを含めて読んでみると、この人は割とニュートラルに見て素直な感想を言ったように見えた。「死にたくなった」というフレーズこそ安易に使ってるけど、内実は。少なくとも「見て大して何も感じなかったけどとりあえずいっとくか」という人ではないように見えた。

抜粋編集。

 id:Gonbenanashino:話それますけど、「俺にこんな青春はなかった!」って絶叫してる人がドラッグ映画観たりっていう流れは見ないですね。いやまぁ全員の映画歴をおっかけてるわけじゃないけど、自ら地雷踏みにいくのダメ、ゼッタイ!とは言わないけど、どこでバランス保ってるのかな

 setofuumi:「映画見にいく」「アニメを見る」みたいな行動そのものが、その人にとってどういう意味合いをもっているか?というのがわからないと…という話になってしまいそう。だから「作品(評価)論」にはならないはずだし、感想と批評の話になんかなってもしょうがない、とはいえる
(注:ここの自分はちょっと飛ばしすぎ。行動の動機や目的が前提として必要、という話)

  • 「風潮」批判

抜粋

 id:GonbeNanashino(2009-08-3101:50:57)
だから「風潮としての死にたい」批判をして、「いや俺まじで死にたいし」「ギャグだし」ってリターンがあればそれはそれで捨象すれば良いんじゃないかなぁーとか
 setofuumi(2009-08-3101:51:26)
一つ段階が進みますね
 id:GonbeNanashino(2009-08-3101:51:39)
漏れる人がいるにしろ、今まであんまり日の目を見てない側面が浮き彫りになる効果の方が重要だと思いますね


だいたいこんなところか。自分としては、「anondの彼」にとっての映画観だとかなんだかんだを引き出したり、「死にたくなった」というテンプレの使用そのものに対して突っ込めば良かった*3ように思うんだけれども、今回の件は、知り合いの二人がチャットをすることによって問題は終了した*4らしいので、どうももったいないなー、という思いが強かった*5のでこうしてまとめてみた。


以下は余談

anondの彼」がanondという形式で書いた以上、自分が「普通の感想だ」と判断するに至った「それだけじゃないからより深く味わった」という内容の記述は無視されても仕方のない情報になってしまっているし、本人不在で問題が解決されても仕方のないことだと考えている。

anondで複数回にわたってpostすること全般を「モトマスダ」と揶揄するケースがあって、その揶揄は大体のケースにおいては当たっていると思っているのだけれども、それでも「情報を積み重ねていくことで一連の記事の完成度が上がる」ことは良いことだし、今回のケースはそれに該当していると思う。そしてそれは一連の外部のやり取りではなくてanondの突っ込みによって成された、と思える。これもまた、anondという形式上仕方のないことかもしれないが。

  • 「日記を書くスタイル」「説教」「影響力を考えろ」など

ここらへんは割愛。でも面白かった。

*1:中略するのは失礼だが、この記事がもっとも全体像をつかめると思ったのでリンクさせていただいた

*2:逆に、だからこそ「死にたくなった」を批判できるチャンスでもあったと思う

*3:風潮、テンプレとしての「死にたくなった」を批判することができた

*4:念のためこちらもhttp://d.hatena.ne.jp/sikii_j/20090828/p1

*5:あと個人的理由として、チャットそのものが大いに盛り上がった