ひとつ火の粉の雪の中

ひとつ火の粉の雪の中 (富士見ファンタジア文庫)

ひとつ火の粉の雪の中 (富士見ファンタジア文庫)

読んだ。何度目だろうか。
アマゾン解説から。

鬼が喰らい、修羅が斬り、人が生きる。それが定め。哀しく妖しい、この世の定め…。最強の修羅・鳳は、焦土と化した村でひとりの少女と出会う。少女は夜闇。鬼の血をひき、鬼の力“鬼界”を秘めたる娘。鳳は夜闇を連れ、旅に出る。永劫にも似た、果てのない旅路。だが、夜闇の力を狙う妖しのものどもの跳梁により、封じられていた“時”が動きはじめた…。第3回ファンタジア長編小説大賞準入選作品。幻想味あふれるジャパネスク・ファンタジー

作品中から

汝の子らである、すべてを──呪うのか──ならば汝は誰がために在るのか──おお──≪苦痛多き世界≫よ──

セカイ系」だなんだと騒がしく言われる以前に*1こういう作品が当時10代の作家*2によって書かれ、それがラノベという場所で起こっていたことを思うと色々と思いを馳せざるを得ない。

完成度というかカタルシスという部分では若干問題あるのかもしれないが、未だに「閑話」と「其の五」*3は震えた。あとやっぱエンハウ(ASIN:4829113049)はこれの変奏だな、とか思った。作家の核、とでもいうか。こっちもそのうち読み返そう。
そういえばセカイ系というくくりで見ると「きみとぼく」で言うところの「ぼく」が不在だな火の粉は。狂人と化け物しかおらん(言いすぎ)。エンハウだと「ぼく」に該当するキャラクターがいるにはいるんだがその屈託っぷりがすごい。でいて完璧に非・主人公的に描かれていて中々興味深い。
願わくば何年か周期でもいいのでこういった部分を書いたこの人の本が読みたい、などと思った。本読む人間としてはもっと色んなもん読めっつー話なんだろうけど。

ついでにご本人のサイト
http://www.motsunabenohigan.jp/

*1:もう15年になる。

*2:応募当時17歳高校生。発売時は19歳専門生とある。

*3:引用部がある章。